事業概要
2015年の総選挙によりアウンサンスーチー女史率いる国民民主連盟NLDが圧勝し、文民政権が誕生した。しかし少数民族との和平協定や人材不足という大きな2つの課題を抱えています。
これらの課題を解決するために重要になってくるのが「教育」による「人材育成」です。
2010年に村人と共に小学校を建設したターヤーコン村では、村の子ども100%が教育を受けられるようになりました。さらに中学校を建設することで、地域の教育水準が上がるだけでなく、高等教育への道も開けます。
建設にあたっては、村で委員会を設立し、建設資材費の15%を村人の手で捻出するだけでなく、村人全員がボランティアで工事を手伝うことで、より自立を即し内発的発展により地域開発につながります。
主体 | 村の住民による建設委員会 |
協力 | パオ民族自治政府、 認定NPO法人 地球市民ACTかながわ/TPAK |
予算 | 250万円(内村人負担額:30万円) |
背 景
ミャンマーは、社会主義時代・軍事政権時代を経て、本年4月に54年ぶりの文民政権が誕生し、民主主義の道を歩み始めた。この54年間に疲弊した経済と社会の貧困は、国連においてアジアの最貧国のひとつとされ、GDPは隣国タイの7分の1、日本の73分の1である。
このミャンマーの持つ大きな課題は、135の「少数民族」の問題。そして長年置き去りにされてきた「教育」の問題である。特に遠隔地の閉塞された地域に住む少数民族の教育は著しく立ち遅れている。
TPAKでは、2001年よりミャンマー南シャン州の少数民族パオ族の居住地域で教育支援活動を33プロジェクト行ってきた。この経験の中から、小学校から中学校に進学できるのは43%、高校進学は12%であることを知った。これは自分の村に中高校がないためであり、教育が必要と考える親は、子どもをマンダレーやヤンゴンなど遠くの大きな町の全寮制の僧院学園に送り込んでいる。しかし僧院に寝泊まりできるのは男子に限られているため、女子には進学のチャンスはほぼない。
この事情を改善するために2010年TPAKでは、中高校のあるパオ族のT村に50人収容の女子寮を建設し、遠くの村の女子を受け入れた。この寮の卒業生から大学進学を目指すものが出現し、本年は38%(全国平均30%)が大学入学を果たした。大学に入学した学生のほぼ90%が教師を目指していることから、2021年から毎年、教師が輩出されることになる。現在、教師は皆ビルマ人であるので、パオ語を解する教師が誕生すれば、パオ地域の教育が格段に向上することは間違いない。パオ族の民族政府(自治政府)もこのことを大変喜び、政策に取り入れた。
TPAKでは、この成功例を礎に、パオ族地域中心の中学高校生のための寮建設を、推進していきたい。
例えば、タピャイコン村では、村人の力でニンニクなど野菜の供託を行い、長年をかけて中高校舎を建てることができた。この中高校に遠くの村の女子学生も受け入れたいと、女子寮建設を考えている。建設に際しては、村が建設委員会(コミッティ)を設立し、砂や木材などの建設資材の収集や、基礎工事をボランティアとして村人総出で行うなどで節約を計り、総工費の15%も村が負担するなど、TPAKの考案した「コミッティ・アプローチ」の手法をとる。村が主体となるこの手法は、村の自立性を高め、寮運営は持続的に行われていく。50名収容の寮から教育大進学者が出て教師になれば、2021年から毎年10人以上の教師が誕生することになる。このことにより、ミャンマーの抱える「少数民族」と「教育」の二つの課題が同時に解決されていくことになる。
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